東京電設サービス株式会社

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部分放電測定による絶縁診断技術とは

電気設備に絶縁不良箇所が生じると、局所的に微弱な放電現象「部分放電」が発生しますが、本技術はこの部分放電現象を検出することで絶縁性能を診断し、重大事故を未然に防ぐ技術です。この部分放電を実フィールドで検出するには、従来の技術ではノイズの影響を受け困難でしたが、当社は海外技術(部分放電に伴い発生する電磁波を捉える技術等)を導入することによりそれを可能といたしました。

事故にいたる過程

  • STEP.1

    電気設備に絶縁不良箇所ができると、局所的に微弱な放電現象(部分放電)が発生する

    部分放電痕

    この時点(部分放電が発生している状況)で見つけられれば重大事故を未然防止することが可能

  • STEP.2

    部分放電が継続していくにつれ、放電箇所を進展・拡大させていく(この際に音や光、熱やオゾンを発生させることもある)

    部分放電、トラッキングが発生した機器(まだ絶縁破壊 に至っていない)

  • STEP.3

    絶縁破壊に至り、使用不能になる

従来の絶縁診断の課題

電気設備の絶縁診断では、一般的に絶縁抵抗測定(メガー)が行われますが、特別高圧や高圧設備の実使用電圧に比べて低い電圧による測定のため、未然に事故の兆候を検出するのは難しいというのが実状です。 また、これまでの設備の絶縁診断は、設備停止が必要なため日程や範囲の調整等の課題がありました。

一方ケーブルの診断において、一般的な直流漏れ電流法は22kV以上への適用が困難であり、交流重畳法は水トリー以外の劣化検出ができないなど、線路の切り離しを伴わず、簡易的に絶縁診断する方法はありませんでした。

部分放電測定のメカニズム

従来の部分放電検出技術では、センサーの感度を上げることで、ノイズの中から部分放電波形を検出する方法が一般的でしたが、実フィールドではノイズ波形の中に部分放電波形が埋もれてしまうことも多く、実際に検出するのは難しいというのが実状でした。
当社では、発想を転換しノイズを含んだ大量なデータを取得した上で、ノイズをフィルタリングし、部分放電波形だけを切り分け検出する技術を確立いたしました。(図を参照)
また、センサーの信号到達スピードの差やPDマッピングシステムにより、部分放電の発生部を特定することもできます。

ノイズは部分放電判定の大敵!

  • ノイズの発生源

    • 継続的なもの(ラジオ、TV局からの通信 )
    • 単発で用期的なもの(パワーエレクトロニクス(UPS)、回転機励起)
    • 単発で無作為なもの(スイッチの切り替える、コロナ、他ケーブルや設備でのPD)

    これまでは設備の部分放電発生領域にセンサの
    特性を合わせて影響を抑制することを優先

    ソフトウェアにて、部分放電とノイズを
    区別するためには詳細な測定を行います

  • 測定イメージ

動画

部分放電測定のメリット

  • Point1

    従来は設備停止が必要でしたが、設備を使用中のまま診断ができます。(生産ライン等への影響がありません)

  • Point2

    真空遮断器やケーブルなど、別々に絶縁診断を発注していたものが、一気通貫で診断ができます。

  • Point3

    乾式変圧器やケーブル終端接続部など、今まで診断が難しかった部分も診断できます。(モールド、油、ガスなどの絶縁方式を選ばず診断が可能)

  • Point4

    外資系のお客さまの保守基準にも対応可能です。

部分放電測定のメニュー

簡易測定/測定器:PDS Insight(ハンディタイプ)

対象機器が多く広範囲な箇所において部分放電発生有無の確認や、微小放電が確認された場合の傾向確認などに適しています。測定設備に応じて、内蔵電磁波センサ、外付け高周波CT、超音波マイクなどを使い分けます。
・測定データは、タブレットに蓄積できるので、繰り返しての測定が簡単にできます。(同一箇所を数回測定)
・設備を課電・運転状態で測定しますので、安全距離が確保できる範囲での測定となります。
・ノイズ処理機能は有していないため、ノイズの多い箇所での測定には不向きです。

精密測定/測定器:Long Shot(PC内蔵デジタルオシロスコープ)

デジタルオシロスコープによる観測で、周辺も含めたノイズレベルの確認、散発的な部分放電の確認、ノイズ対処方法の適用など臨機応変に対応します。

 

また、測定ごとに評価を行い、部分放電を適切に把握できるよう絞り込みます。部分放電の発生状況に応じて、センサ取付位置、センサ種類などを見直すとともに、時間間隔を置いて繰り返し測定します。

 

測定後には、速報をお送りするとともに、正式報告は社内の審議会での結果を反映してご提出いたします(1ヶ月後)

・測定設備に応じて、電磁波センサ、高周波CTなどを取り付けます。
・設備を課電・運転状態で測定しますので、安全距離が確保できる範囲での測定となります。

測定対象設備
  • 電気設備関係:遮断器、変圧器、ケーブル等(使用電圧/3kV~66kV、絶縁種別/モールド、油、SF6ガス等)
  • インフラ関係:ポンプ、コンプレッサ、ブロア等の電動機(使用電圧/3kV~22kV)

66kV遮断器

66kVCVケーブル

6kV変圧器

6kV遮断器

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